おしゃれ最前線2019

皆さまご機嫌麗しう。こちらは秋のニューヨークです。

まあ別にブログを書かないといけないわけではないのですが、まあ、ありますよね、日常生活を過ごしていると。そうすると小ネタが日々溜まっていくわけです。で、まあ、それをご紹介できるタイミングとそうでないタイミングがございまして。


本日は用事がありブルックリンからマンハッタンに。地下鉄に乗って30分ほどで虚栄の街に到着するわけですが。最寄りの駅の立ち飲み珈琲屋さんでコーヒーを頼んで、そこの黒人の若いお兄さんに眼鏡を褒めてもらったりしながらちょっと日向ぼっこしてたのですが。


まあ、ハタの住んでいる場所は以前にもお伝えした通りブッシュウィックという若者の街のすぐ近くにあるわけでして。そこの珈琲屋さんはブッシュウィックとウィリアムズバーグという地域の境目にあるわけですね、ええ。でまあ、その地域でぶっちゃけ住んでいる人のタイプが異なるわけですね。

ウィリアムズバーグはちょっと前までは「世界で一番アーティスト密度が高い街」などと言われていましたが、まあ実質上その9割は自称だったわけで、土地の値段が上がったらみんなあっさり追い出され。気がつけばウォール街あたりで株式取引なんかをやってるスーツ着た成金ばっかりが住む街になりました。

その一方ブッシュウィックは「若人の街」なので、なんていうんですか?ミレニアル世代っていうんですか?みたいな人たちが沢山住んでおられるので、良い意味でも悪い意味でも学祭ノリ、っていう感じでして。ハタももし若い頃にこんなところに住んでたら楽しかったのかなー、って思ったりもします。

でまあその2つの地域が合流するポイントにハタは住んでるわけですね、ええ。なので、「ああ、アメリカの今時の若者はこんな感じかー」とか、「ああ、今の小成金はこんな感じなのね」などと観察しながら日々暮らしていたりするわけですが。


本日もハタがお安いコーヒーを啜っていると路上にに現れました。ザ・ブッシュウィックな感じの若者が。いいですかみなさん。これがブルックリン最先端2019年秋ですよ。これがトレンドです。

繰り返しますが、これが今のアメリカの若い子が考える「おしゃれ」です。

では張り切ってどうぞ!



んー真似はしたくない、かな。

でもねえ、この人本当に「今のブッシュウィック」を体現してるんですよね。

幅広のパンツはかなり短くして、色はおばちゃんのズロース色マイルドなパステルカラーのピンク。この系統のパステルカラーも去年あたりから流行ってます。スニーカーは一昔前のガンダムみたいなやつ。そして超絶ダサいセーター。多分全部古着


思うんですけどね。こういう「あえてハズしたおしゃれ」って一番本人のセンスが問われると思うんですよね。今のグッチとかバレンシアガとか。でも、

「1回ぐるっと回って超おしゃれ」って言うのは角度が3度でもずれるとただの珍物件。


残念ながらレディーガガみたいな鈍臭い学芸祭の出し物みたいな衣装をおしゃれだと思って育ったアメリカの若い世代はそんな繊細な角度で自分を演出できるわけもなく。1ミリ単位で調整して成り立つ微妙な世界観を大雑把にインチで計算してしまった結果ブッシュウィックを歩くほぼ9割の若者が全て珍物件というカオスな状態に。アメリカ人によくありがちな状況です。一言で言えば「雑」。常々ハタは「バッドテイストはグッドテイストを理解していない人間には無理」と考えていますが、やっぱあながち間違ってねーよなあ、と。


しかしですねえ。

一方でアメリカの文化の良いところは、「敷居が低い」という点だといつもハタは思っております。細かいことはとりあえず抜きで要所だけをかいつまんでマニュアル化、それを広く普及させてより多くの人がその利益に預かる、というモデルは決して悪いことではない。一言で言えば質より量。日本の場合は質を極端に高めることでその価値を上げる、という文化なので、そう言うマニュアル化されたものを見ると「魂こもってない」とか「スッカスカやんけ」と思ったりもするんですが、難しいことは抜きにして幅広くアピール、と言うのもまた一つの考え方です。今アメリカで抹茶が大流行りですが、日本人がこっちに進出して抹茶を広めようとするとやっぱり「茶道」「お点前」をアメリカ人にやらせようとして失敗するんですよね。アメリカ人、あんな繊細なことできません。で、アメリカ人はどうするか。抹茶ラテにして紙コップで出しててオーイッソクー(Oh It's so cool)ですよ。日本人の細部への気配りなんてそもそもアメリカ人にはどうでも良いことなのです。多少誤解されようが無理解があろうが、とりあえず広く行き渡ればそれでいい。そしてそれでお金儲けができたら何の問題もない。それがアメリカ人のある種の合理主義的な思想なのだと思います。


でもねえ、状況によっては質も大切ですよねえ、と。

ましてファッションとか、そういう美意識の世界だと、残念ながら今のアメリカ人の子は鈍臭さが目立ちます。美意識は合理主義では成り立ちませんからねえ。こう言う部分に関しては圧倒的に今の日本人の若い子の方が上手だと思います。この辺歩いている日本人の若い子も、流石にこれがおしゃれだとは思わないらしく、もうちょっとマシな格好をしているような気がします。


音楽もファッションも、アメリカが最先端である時代と言うのはだいぶ前に終わったな、と言うのがハタの正直な感想ですが、やはりこう言うアメリカの若者のファッションを見ていてもそう言う何かしらの「文化的な鈍化」は認めざるを得ないような気がします。ハタが若い頃に輝いていたニューヨークと言うのはもはや存在はしていない、と言うのはもう痛いほどわかっているのですが、アメリカが、そしてニューヨークが再び世界の文化的な先頭を走ることはあるのでしょうか。そう言う意味ではブッシュウィックの若者たちがこれからのアメリカを支えていくわけで、彼らには本当頑張って欲しいと思います。雑は雑なりの利点があるわけですし、その雑さを生かして大雑把でワイルドなアメリカの文化を作り上げて欲しいと思います。


ちなみにこう言う9割の大失敗を綺麗に取り除いて写真に収めるとこんな感じになります。

世間でいう「おしゃれなブルックリン」ですね。


つまんないですね(笑)




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