ということでみなさまご機嫌麗しう。
ついに日本も全国規模で非常事態宣言が出されたそうで。ついに来たか、と暗澹たる気分になる方も多いかと思いますが、まあ暗い気分になっても仕方ありません。外はせっかくの春ですし、ここは自分の生活でできることをこなしつつ、粛々と日々を過ごしましょう。
かくいうこちらニューヨークも絶賛自宅待機中。本日をもちましてほぼ4週間経ちました。
最初の1週間はそれなりに緊張感もありましたが、流石に4週間も経ってくると慣れるというかダレるというか、割とグダグダです。1週間ほど前は夜の7時になると自宅待機しているみなさんがバルコニーなどに出て拍手をして、医療関係者に感謝の意を示す、という誰の為にもならない謎のイベントが発生してましたが、
今週に入ってはそういうイベントすら起こらず。
みなさん自宅待機でもうすでにお腹いっぱい。
そして現状ではこの自宅待機はまだ一月半続きます。割と長期戦の構えになってきました。
今週に入りクオモ州知事が「外出時には必ずマスクを着けるように」との通達があり。それ以前から一応マスクをして外出してはおりましたが、ああ、ついに公式にお達しが来たか、と。ということで些細な買い出しでも必ずマスクを着けて行動しておりますが、
どんな変質者ですか、と。
まあ非常時とはいえ、この状態でお店に入って普通に物が買えるというのも如何なものか、と思ったりもするのですが、まあ背に腹は代えられません。大きなスーパーはたくさん人がいらっしゃるのでなるべく避けるようにしており、日常的な細かな買い出しはごく近隣の小さなお店で済ませているので、まあまあお互い顔見知り。なのでそこまで怪しまれることはないのがせめてもの救い、ではあります。実はニューヨーク、マンハッタンはともかく川向こうのブルックリンやクイーンズあたりだとボデガと呼ばれる昔からのコンビニみたいなのがありまして、普段はあまり目立たないわけですが、今回のような特殊事情になるとその存在の貴重さが目立ってきました。日本のコンビニのような利便性はないですが、それでも生活に必要な最低限のものがそこで手に入るので、結構重要なライフラインとなっております。
ということで自宅待機4週間。振り返ってみれば特に苦しいこともなく、だからと言って楽しいということもなく。びっくりするくらいのごくごく平凡な日常が繰り返されています。まあ普段から社交的な方からすると自宅待機で大幅な生活スタイルの変化があったとは思いますが、もともと半分引きこもり&ほぼ自炊、みたいな生活を続けておりますので、そこまで大きな変化もなく。
まあ自宅待機、とか、非常事態宣言発令、とかと言われると、すわこの世の終わりか、と思うわけでして。その辺はアメリカも同じ。数週間前、アメリカで非常事態宣言が出たあたりで、一部のマニアが「ついにその時が来た!」とばかりに謎の盛り上がりを見せていました。その名はPrepper。一言で言えば一種のサバイバル技術愛好家ですが、同時にこの世の終わりをただただひたすら待ち続けているという、ある意味謎の人たちでもあります。
大体皆さん郊外にお住いで、お家の一角に缶詰や保存食などを備蓄しておられる模様。基本的には政府や権力のサポートは必要としないし、そんなもんはなくて良い、というタイプの人たちですから、アメリカの政治思想の中ではいわゆる保守派に入るのかな、と思います。まあ発想自体が非常にキリスト教の終末論に影響を受けているのはよくわかりますしねえ。
こんな感じでひたすら缶詰や保存食などを保存されておられるようです。基本的には缶詰をひたすら貯蔵する、というリスのようなスタイルで世の終わりを生き延びようという計画のようです。どうやらこのPrepperの世界観では稲作や狩猟採取生活という方向性はあまり重要とされないようで、生産手段に関してはあまり言及せずにとりあえず買えるもんで一人になっても生き延びよう、と決意する人がただひたすら缶詰を備蓄するだけ、というあたりのお手軽さがアメリカ人っぽいなあ、と。面白いことに、日本人だと大抵は缶詰を備蓄するというよりは「やっぱり種を買うか」という方向に行くようで、その辺の考え方の違いもなかなか興味深いです。やっぱりうちらは農耕民族。
まあ確かにこういう備蓄があるのはある程度は心強いかもなあ、とも思いますが、でも備蓄が長期間維持できるだろう、という発想が天災の少ない国の発想だよなあ、と思ったりもします。意地悪な言い方をしたら天災ナメてますね、と。日本みたいに津波とか地震とかがあると、やっぱりそもそも大量の備蓄したところで水に流されたりあっという間に地面に埋まって終わり、ですしねえ。備蓄庫が常に安定して存在できる、という発想を下敷きにしている段階ですでにダメじゃん、という気がしないでもありません。やっぱ種ですよ。実際こういうサバイバリストとして登場する人は軒並みヒゲ生やしてマッチョな感じで頑張っておられますが、ぶっちゃけ個人の筋肉が街一つ破壊する津波に勝てるわけはないんですがねえ。なんていうか、やっぱり世界観の違いですかねえ。
ニューヨークの有名なprepperのお一人。
確かに非常事態に備える、と言うこと自体は重要ですし、そこで必要なのはサバイバルスキルだ、と言うのもよくわかるんですが、個人の力、と言うのがそこまで自然の圧倒的なパワーに勝てるのか、と言われたらちょっと微妙な気がします。
まあ実際の現代社会のサバイバル能力、というのはいかに辛抱強く配給を待てるかどうか、みたいな集団生活の中でのメンタルな部分だとは思うんですけど、アメリカ人のサバイバルの発想はあくまでも個人がいかに生き延びるか、という部分に焦点を絞っているようです。日本人はその辺良かれ悪しかれ共同体主義、というか、世界が終わった後の世界の復興を前提にして行動してるっぽいですね。その辺やっぱり世界が終わった、でそこから先がないキリスト教の終末観とは異なるものの見方をしているのかなあ、と。
でもまあそれでもいざという時に何を備蓄しておくべきか、というのは参考になりますね。
この動画の方は玄米・パスタ・ジャム・ナッツ類・プロテイン配合のホットケーキミックス・野菜・スープの缶詰などを備蓄されているようです。缶詰ばっかりですが、実はアメリカにはレトルトパウチと言うものがほとんど存在していないのです。レトルトの食品があればもっと便利なのに、と思うのですが、その辺アメリカ人はオールドスクールです。
ちなみにこの世の終わりを待ち続けておられる方達、というのは日本の某宗教団体の信者さんにもおられたそうですが、最近ではさすがに待ちくたびれてきたそうで、
「世の終わりが、、、来ないのよねえ、、、」
とぼやきながら麻雀などをされているそうです(某脱会信者さんからの情報)
それはそれで切ないですが、今回のパンデミックで少し元気になっておられるかもしれません。
それはそれで良いことなのかも、と思ってみたり。
と言うことで皆様も健やかにお過ごしください。
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