Court Music

皆さん最高ですかー(まさかの福永法源)

こちらはだいぶ秋っぽくなってきたニューヨークです。皆様お元気でしょうか。

今日は(というか今日も)ブルックリン側の彼岸から虚栄の街を眺めております。こちらも暑さがましになって気候が良くなってくると芸術の秋がスタートです。9月はソーホーのギャラリーも休暇から復活していよいよ本格始動。コンサートやライブも色々と活発になります。


そんな中ハタも音楽を楽しむべくとある公演に行ってまいりました。さすがニューヨーク、文化の街ですね。おしゃれですね。

まあどうでもいい前口上は置いておいて。


実際先週とある公演の後にすんごい長いブログを書いたんですよ。それもすっごい真面目に。今まで散々息子が2本だの空き地にダッチワイフだのとひどい話を書き連ねてきたんですが、そういうお下劣な内容及びハタの印象を一気に好印象に持っていくような高尚かつ素晴らしい内容のブログを書いたんですけどね。

投稿ボタン押した瞬間に全部内容消えまして。


あの格調高い武満徹の現代雅楽曲についての感想はインターネットの海を漂うこともなく海の藻屑のように消えていきました。まあ武満徹の現代雅楽曲についてそこまで話を聞きたい人もいないとは思うんですけどね。


まあ芸術の秋ですし、大都会ニューヨークですから、有名アーティストの公演やパフォーマンスはたくさんありますが、まあハタの趣味で行くと99%興味がない。ですが今回は違った。何としてでも見に行かないといけないライブを見つけてしまったわけですね。

伶楽舎ですよ。雅楽ですよ。



日本を代表する雅楽アンサンブルの1日のみの公演。もうテポドンが落ちてきても行かなくてはなりません。

一月前からチケット購入して体調を整えていきます。


ハタは昔から雅楽が割と好きでして。どの曲のあれが好き、とか、そういうレベルには達してないのですけれども、何となく聞いているのが好きで。特に笙の音が非常に好き。日本で手に入る笙の独奏の音源はほぼ全部持っているかもしれません。でまあ、日本最高峰の雅楽が聞けるとなればもう絶対見に行かないといけないわけですね。これからマドンナがブルックリンで公演を行いますが、ハタからしたらもう当然マドンナより雅楽


で、会場のジャパンソサエティに行ってプログラムをいただいてみてみたらさらなる驚きが。

武満徹の「秋庭歌一具」がプログラムに入ってる!(歓喜の涙)


もうねえ、なにが好きって武満徹の「秋庭歌一具」が好き。素晴らしい。現代雅楽曲の最高峰ですよ。今まで嬉しい時悲しい時お腹が空いた時繰り返して聞いてきましたが、まさかアメリカの東の岸辺に流されたまんまのハタの人生にこの名曲を生演奏で聞ける日が来るとは!わかっていただけます、この喜びと感動?しかも演奏メンバーの中に日本を代表する笙の演奏家・東野珠美さんがいらっしゃるなんて(気絶)



まあ武満徹のこの作品のなにが素晴らしいかって1000年維持された雅楽のスタイルを使って西洋現代音楽の耳にも通用する構成と音響を作り上げつつキワモノにならずかつ現代音楽としても説得力があってしかも武満徹の特徴がしっかりと分かると言うものすごい作品なんですけどもうね最初の出だしから(以下略)


でまあハタは一人でノリノリで公演を見ていたのですが。周りは比較的裕福そうな年齢層高めの白人のお客様ばっかりで。まさにこう、なんて言うんですか、私たち他文化にも造詣が深いのでございますよ、と言う空気が全身からオーラのように滲み出している感じで、まさに「おハイソ」と言う言葉がふさわしい雰囲気でしたが。1曲目の古典曲演奏の後、

会場がなんかだかマイルドに困惑した空気に。

えっGagakuって何これ、、、って言うかこれ音楽なの?聞いてたのと違う、的な戸惑いを隠しきれないおハイソな皆様方。

ですよねー(笑)


まあこっちの日本通が知ってるのって基本江戸時代以降の近世の文化だけですしねー。平安時代あたりになるともう全く知らない人の方が多いでしょうし。お琴三味線に日本舞踊、みたいなのが日本の「古典」だと思ってる人からしたら雅楽なんてもうオノヨーコレベルで意味不明。

お隣に座っていた方がおずおずと尋ねてきます。

「これって、、、その、、、即興とかじゃなくって、曲なの?楽譜とかあるの?」

まあ気持ちはわかる。大丈夫、日本人もみんな分かってないし(笑)。

「これは全部楽譜も1000年以上前から残っていて、ちゃんと音律もあって「演奏」してるんですよー」と答えてはおきましたが、

まあ、これを2時間聴くわけですしねえ。困惑はしますよねー、そうですよねー、と。

プログラムの前半は完全に古典曲、後半が現代曲で、ちゃんと聴き比べができると言う非常に贅沢な構成だったのですが、後半で演奏された武満徹がやはり凄かった。ちゃんと西欧の音楽に慣れた人にも「なんかよくわかんないけどとりあえずすごい!」と思わせる構成力。古典曲にはない迫力のある音響。武満徹の音楽はやはり日本的な空気をまといつつも視線はきっちり西洋の観客に向いている、と言うことが如実にわかりました。実際これは日本人だけで聞いていたら分からなかったことだと思うので、いやー、日本の外で外国人の人と一緒に聞いてみるもんだなあ、と。

まあ個人的には大満足で、いやー、いいもん見たわー、とほくほくしながら帰ってきたのですが。

他のお客さんはどうだったのかなあ、と。でもまあアメリカ人からしたら楽器から曲、演奏方法に舞踊まで1000年前からきっちり伝承されていると言うこと自体がもう理解の範疇を超えているので、もしかしたら自分たちがどれだけ素晴らしいものを見ることができたのか、理解できている人は少ないとは思うんですが、それでもここまで歴史のあるものを現代にしれっと出して来れる日本、って言うのはやっぱりすごいなー、と思うわけで、その辺は素直に誇ってもいいんじゃないかと思います。スシサムライもいいですけど、

まろも結構いけるんじゃないでしょうか。

このブログをお友達に教えて、お友達も綺麗にしてあげましょう。イオナ。私は美しい。