太陽の舌、光の味

皆様ご機嫌麗しう。

こちらはすっかり秋のニューヨークです。

秋のニューヨーク、英語だとオータム・イン・ニューヨーク。確かそんなラブロマンス映画もありましたね。気温が下がれば心は暖かく。ニューヨークはロマンチックな季節です。


はいっ、と言うことで皆様のご機嫌をお伺いしておりますよー(芸人っぽく)

あのですね。

先日のベーグル問題が山陰地方の一部で結構な話題となってるようでして。大反響をいただいております。当然皆さん美意識の高い好事家ばかりですから、

「雑すぎる」

「深いのか浅いのか分からない」

「気になりすぎてベーグルを作ってしまった」

などと大絶賛の嵐でして。皆さんにアメリカ文化の奥深さを堪能していただけたようです。

でまあ、今まで息子が2本とかひどいネタしかブログに書いてこなかったハタですが、ここでふと気づいたわけです。

「そうか世間の皆様は息子2本じゃなくてベーグルか!」と。

まあ遅きに逸した気がしないわけでもないですが。って言うかおしゃれブログ始めるつもりで1ヶ月でもう息子が2本ってちょっとした災害ですよね。いや、分かってるんですよ。もうちょっと気の利いたおしゃれな事を書かないといけない、って言うのは。だからと言って今回のベーグルの件がおしゃれか、って言われたら、まあ違うな、と。だって穴だし。

でまあ今回の件でふと思い出したことがあるわけですよ。

今回はその事を書いてみようと思います。

思い起こせばもう10年以上前のこと。ハタはロサンゼルスに家人と暮らしておりました。ご存知かと思いますが、ロサンゼルスといえば太陽が燦々と輝く常夏の地域です。まあ寒い時期もあると言ってもも日本の晩秋くらいが関の山、息が白くなる時期なんてほとんどありません。そして当然強烈な日光。これはちょっと体験していただかないと説明しにくいんですが、とにかくこのロサンゼルスの直射日光を体験すると、日本の快晴の直射日光がいかにマイルドか、と言うのが実感できます。

そんな日々を暮らしていたとき、家人が突然言いました。

「そうだ、サン・ティーを作ろう!」

Sun Tea。太陽のお茶。なんだか魅惑の響きじゃないですか。家人はアリゾナ出身。「サン・ティーはアリゾナ独特のお茶なんだよ」と教えてくれました。あの砂漠とサボテンしかない地域の「太陽のお茶」。なんだろう、サボテンの果実とか入ってるんだろうか。それとも何かアリゾナでしか生えないハーブを使用するのだろうか。ハタは未だ見たことも聞いたこともないこのお茶の話にすっかり魅了されました。きっとこれはとても美味しいものに違いない。

と言うことで早速サン・ティーを作ります。家人は台所の棚をゴソゴソと探し、リプトンの黄色いラベルのティーバッグを出してきました。え、リプトンのティーバッグ?なんで?ハーブティーとかじゃないの?とハタは思いました。だってアリゾナ独自のお茶ですよ?

ローカル色があるでしょうに、なんでティーバッグ?

そんなハタの疑問は全く無視して家人は作業を続けます。

冷水用の透明なガラスのボトルに水を入れ、そのままリプトンのティーバッグをちゃぷんと入れました。

「はい、これを陽に当ててね」

ここはアメリカ、ロサンゼルス。

何かを期待したハタが悪かった。(痛恨のミス)

ロサンゼルスの強烈な光を受けて、リプトンの紅茶がゆっくりと水に抽出されていきます。驚くべきはこの太陽光の熱量。ガラスのピッチャーに入れた水が数時間後には結構なお湯加減に。あまりの斜め上を行くアリゾナのお茶に一瞬くらっときたハタでしたが、まあよく考えればこれも強烈な太陽光だからできる砂漠ならではのお茶の作り方、水の温度も低温で長時間抽出だと思えばきっと何か味わいの違いがあるのかも、と思い直しました。実際透明な水がゆっくりと紅茶の色に染まっていくのは見ていてなかなか美しい。

そして数時間後。サン・ティーは完成しました。

太陽の光をたっぷり浴びた、太陽のお茶。黄金に色に輝く液体は、まさに太陽のお茶という名前にふさわしい輝きを放っていました。

グラスに注ぎます。まさに太陽の雫が液体となり、グラスになみなみと満たされました。ああ、これがアリゾナの太陽のお茶。

ハタはワクワクしながら味わいました。貴重なワインのように。そしてその太陽のエネルギーを味わい尽くすかのように。

おお、これはすごい。これはまさにあの、

あの安っすいリプトン紅茶の味やー

何かを期待したハタが悪かった。(痛恨のミスその2)

ただ、チャンスがあればもう一回チャレンジしてみたい気はします。下の動画のようにお茶っ葉をもう少し変えてみたら、味わいは変わるかもしれませんし、そこは基本作る人の裁量に任されてますから、味のバラエティは無限大。でもまあどうですかねえ、実際。

お湯沸かした方が早いかもしれませんねえ。


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