皆様ご機嫌麗しう。気温も下がっていよいよ冬の気配ですがいかがお過ごしでしょうか。こちらはふと気がつくとクリスマスソングが行く先々で流れ始め、街が若干の多幸感と微妙な焦燥感とに包まれております。とはいえアメリカ国内はこれからが冬のイベントシーズン到来、と言うことで今月末のサンクスギビング、そしてそれが明けた日に全米で行われるバーゲン解禁日・ブラック・フライデー、そしてその狂気じみたテンションを保ちつつクリスマスへとなだれ込んで行きます。
ここしばらくはあまり遠出もせず地味にブルックリンでアパートと事務所を往復する生活をしておりましたが、ふと気がつくともう秋も終わって冬の始まり。このままではどこにも行かずに外に出るのが面倒臭い真冬が到来してしまう!今のうちに散歩しておかないと!、と言うことで久々にセントラルパーク界隈に行ってきました。
まずは地下鉄に乗ってアッパー・イーストサイドに向かいます。マンハッタンの東側の上半分。比較的保守的な富裕層と、思いっきりラテンで色々とヤバいイースト・ハーレムを通り抜けるグリーンのラインで北上します。これで一気にセントラルパークの東側の中程エリアに接近するわけです。
まあご存知の方はご存知だとは思いますが、セントラルパーク周辺エリア、と言うのは超お金持ちが住むエリアでして。どの辺だかは知りませんがオノヨーコ先生も確かセントラルパークが見渡せる高級物件にお住まいだったと思います。写真のような割とこんな古いアパートも全て超高級と言って良いレベルです。なのに建物が古いのでエアコンなし、場所によっては洗濯機を置く場所そのものがない、など、かなり生活条件的には厳しいものがあるのですが、
まあ、お金持ちはメイドさんとか雇うからどうでもいいんでしょうね(遠い目)
実際この辺のコンドミニアムの入り口には制服を着たコンシェルジュがビシッと24時間待機しておられて独特の空気を醸し出しています。って言うかお金の匂いしかしない。この辺の犬が散歩させてもらっているのを見ると、「ああ、このお犬様の食費はきっとハタの生活費より上だわ」と悟りの境地に陥りそうになります。流石にこの辺になると成金中国人もそう簡単に入り込めないエリア。お金だけでは片付けられない、「階級」の世界が広がります。
でまあ、そう言うお金持ち通りを西に歩いて行くとセントラルパークに到着です。
グッゲンハイム美術館もセントラルパークのすぐ傍にあります。アメリカのモダニズム建築の最高峰ですね。
セントラルパークは中央に結構大きな貯水池があるので、東の端から眺めるとこんな風な光景が広がっていたりします。都会の光景としてはほんと綺麗なんですが、冬はもう凄まじく寒い。水が凍るといい感じに氷で冷やされた空気が顔面を直撃します。なので呑気に水辺を歩けるのもあともう少しです。
樹々もちょうどいい頃合いに紅葉してきれいです。マンハッタンは大都会ですがこうした自然が街のど真ん中にあるので案外セントラルパークのちょっと奥の方に行ってしまうと結構いい感じで都会の空気から離れることができます。とはいえうっかり夜中に行くと山賊みたいなのが出てきて襲われたりしますが。いろんな意味で大自然です。
ただ、「なんで昔の人はこの空間をわざわざ空けていたのだろう?」と常々思っていましたが、実際行ってみると実はセントラルパークはものすごい巨石がゴロゴロしてるんですよね。日本人の感覚だともう神社を建てずにはいられないクラスの巨石がそこら中に。もうそこら中にしめ縄を張りたくて仕方がない。恐らく19世紀後半から20世紀の初頭の建築・土木技術ではあのような巨大な岩を取り除くことができなかったのでは、と推測しています。実際20世紀初頭のマンハッタンの高層建築があの高さを維持できたのはマンハッタン島自体に巨大な岩盤があったから、だそうで、セントラルパークはそう言う岩盤の条件でそもそも建築物に向かない土壌だった可能性はあります。
でまあ、なんでセントラルパークの東側か?って言われたら、まあ、あれです。美術館ですね。
メトロポリタン美術館。ニューヨークにはたくさん美術館があり、MoMAとかホイットニーとか、現代美術の美術館の方が色々と話題になることが多いように思うのですが、ハタ的にはもう断然メトロポリタン美術館。基本古いものが好きですし、まあ日本で言う所の国宝級のものがずらっと並んでいる訳ではないですが、アメリカのお金持ちがコツコツと集めたものばかりですから、世界中から集めた高品質の文化財がが大量にあります。幼い頃には考古学者になりたかったハタみたいな人間からするともう張り付いて必死で見てしまうものが山ほどあります。なのでとにかく見に行って面白くないわけがない。で、同時に最近アメリカのアール・デコについても勉強しないとなあ、と思ってたので、それだったらメトロポリタンに行けばいいのが見られるはず!とも思ったりしまして、ええ。
でもまあ実際行ってみるとまず一日で全部見るのは100%不可能です。一つの建物の中に常設展と特別展とがあって、その特別展だけでも本気で見ると1時間くらいは平気でかかります。しかも特別展が複数の場所で同時に行われているので、特別展ですら下手すると一日では周り切れません。ハタも割と今までよく通ったのですが、まだたどり着いていない場所が結構あります。ほぼ魔窟。さらに自分の興味範囲がうっかり特別展になったりするともう阿鼻叫喚です。ほとんどの観光客の皆さんは有名なエジプトやローマ、近代絵画のコレクションあたりでお腹いっぱいになっておしまい、と言う感じですが、ハタはその辺には一切目もくれず。っていうか見たいものを優先してるといつまでたってもエジプトに到達できない。近代絵画なんてもうそもそも見ることを諦めてしまっています。まあぶっちゃけハタの場合はルネサンス以降の文化にほぼ興味がないので割とどうでも良いのですが。遠近法が狂いまくりの中世絵画最高。
でまあ、どこを一番先に見にいくのか、と言われると、ハタの場合、ほぼ100%の確率で
だいたいマヤ文明沼にはまって出てこれなくなります。
いやー、マヤ文明あんまり興味なかったんですけどね。ある日、「せっかくアメリカにいるんだからアメリカの古い文化について勉強しましょう」と思って南米考古学の本を読み始めたらまあこれが面白いこと面白いこと。生贄だの放血儀礼だのとあまりの凄まじい内容にすっかりどハマりですよ。オススメは岩崎賢「アステカ王国の生贄の祭祀 血・花・笑・戦」とかサイモン・マーティン/ニコライ・グルーベ「古代マヤ王歴代誌」ですが他にも色々(以下略)おかげさまで日本語で手に入る中南米考古学の本はだいたい読み尽くしました。「古代マヤ王歴代誌」に至ってはもう165人の王様を完全収録ですよっていうか165人ってどう言うこと(発狂)
でまあ本を読むと主要なマヤの遺跡について書かれてる訳ですが、本を読んで改めてここに来るとあの本に書いてあった遺跡のあの石碑が目の前にドーンやだすっごいあのモンテアルバンの神殿のあの石碑(以下略)
次から次へとこれでもかと並べられる古代文明の一級品。もう地面から石油が湧いてくる国ってすごい。もう何でもかんでも金にものを言わせてコレクションしまくり。この中南米エリアはメトロポリタンの中ではかなり小さい部類のセクションですが、それでもオタ的な姿勢で臨むとしばらく出てこれません。ここで体力の半分は消費してしまいます。今回も展示物の間を行ったり来たりしながら「やっぱコーンの神様キュート!」とか「ナスカ文明の陶器の絵付けのポイントは生首の目の描き方!」とか、新しい学びを得ておりました。
コーンの神様。かぐや姫的な恥じらいを感じます。
ぶっちゃけハタ、持ってるんですよね、中南米の考古学遺物。数は少ないですが、持ってることは持ってる。なので、ついつい「自分の持ってるものと美術館で展示されているものはどの位差があるのか?」とか、そう言うことを比較しだすともう壺一つだけで素材から質感から形からひたすら舐め回すように見てしまうわけです。でまあ、「なるほどこれが美術館クオリティか!」と納得するわけですね。やっぱり美術館に収蔵されているものは質や保存状態が格段に良いです。もうそう言うことがわかりだすと考古学遺物一つ取ってもものすごい情報を得られます。
なぜかハタが所蔵している1000~1500年前の西メキシコ・ヴェラクルズ文化の戦士像。
皆様も床の間に一ついかがでしょうか。
でまあマヤ文明でひとしきり血圧が上がるとお隣のオセアニア地域でクールダウンするわけです。あれですよ、水木しげる大先生のお友達がいっぱいいらっしゃいます。
もうこの辺の段階でマヤ人と水木しげる大先生のお友達に体力の2/3くらいは吸われています。このエリア、ハタは大好きなんですが人がほとんどおらずある意味休憩ポイントとしては最適です。ベンチに座りつつここで残りの体力をどう使うか、で方向性を考えるわけですが、だいたい行くとなればメソポタミア・アッシリア文明の皆さんにご挨拶をしてたらもう終わり、で、下手をするといつまでたってもローマどころか紀元後の世界にまで到達できず。ローマ文明とかもう似たような石膏の像見てるからええわ、という雑な気分に。
しかも今回はアメリカ・カナダ圏のインディアンの民族工芸の特別展があり、そこを見に行く事にしてさらに小一時間ほど消費。大分頑張ったのですが最終的にはもうアール・デコなんて見る余裕もなく。アメリカの宝飾品を集めた特別展もやっていたのですが、展示室にすら到達できず遭難。歩けど歩けどヅラかぶったヨーロッパ貴族のおっさんの絵ばっかり。
帰り道がわからないよう(しくしく)
あ、でも天井のステンドグラスは見事なアール・デコ様式でした。
でも今回は最後の最後に頑張ってみたんですよ、ハタ。
疲れて帰る前にちょっとだけエジプトの方にも行ってみました。宝飾品の特別展の部屋にいく途中でしたので、頑張って通るだけでも通ってみよう、と。で、久々に行ってみてちょっと思ったんですね。
、、、割といらっしゃいますよね?
多分ねー、あそこ、結構な数のミイラが展示されてるんですよね。あの辺空気がなんか変。重くてどんよりした空気。正直空気が淀んでいる。
エジプトのミイラって、ほら、ぐるぐる巻きじゃないですか?で、やっぱりあれを解かないと中身は出てこないわけですよねえ。目の前にあるのは、きっちり巻かれてきれいに装飾まで施されたミイラさんたち、、、。と言うことは、具は詰まってると考えてよろしいでしょうか?
等と書いてはみたものの、「他の人はどう思っておられるのだろう?」と思って調べてみたら、同じご意見の人がおられました、、、。
エジプトの王族は今はマンハッタンの高級エリアにお住まいのようです。
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