ということで皆さまご機嫌麗しう。ついに師走がやってまいりました。
今年もあっという間でした。きっと来年もあっという間で、再来年はさらにあっという間。
この調子なら多分もうあっという間に死んじゃう!と思うんですが、まあ、それでもいいかな、と(投げやり)。
ええっとですね。ここしばらくニッチな内容のブログばかりを書いておりますが。
おかげさまでジョアンナ・ワンの「魅せられて」カバーが素晴らしい!などと一人で台所の隅で小躍りしておりましたら読者数もだだ下がりしておりまして。こちらに来ていただけるのはよりマニアック厳選された読者の皆さま、これからも少数の方に最大の偏愛を、と言うことで相変わらず世間の大多数を相手にするつもりが全くないハタでございます。一瞬「読者を増やさなくてはいけないのでは?」と真っ当な考えが頭をかすめるのですが、その瞬間に頭の別の方向から「無理したら熱が出るからやめとけ」という神の声がしてくるので無理はせずにニッチな内容をこれからもお届けする予定です。だってどんな人がトップブロガーなんだろう、って思って調べてみたらだいたい自己啓発セミナーみたいなのばっかりでもうお前ら好き勝手にキュウリでもナスでも出し入れ自由にできるように啓発しとけ馬(以下略)
ということでやってきましたサンクスギビング。正直日本人のハタには全くもってピンと来ないイベントですが、アメリカ人からするとお盆や正月のような超重要家族イベントであります。記録に残っているアメリカでの最初のサンクスギビングは1619年、と、国家としてのアメリカの歴史としては相当古い方に入ります。伝説によればアメリカの移民入植者が原住民であるインディアンの人々から七面鳥だの何だのを分けていただいた、というお話がありますが、調べてみるとはっきりした根拠があるようでもなく、どちらかというとその年の収穫を祝う新嘗祭的な意味合いの方が強かったようです。
普段はたくさんの人で溢れかえっている街もサンクスギビングの当日はこの状態。
レストランもお店もほとんどが閉店、開いているのは酒屋と文化的な理由でサンクスギビングには参加する意思のない移民のお店だけです。
でまあ何をするかと言われましたら、一族郎党で狂ったように七面鳥を焼き締めて食う、という、という非常にシンプルなお祭りな訳でして。日本のお正月と同じ感じ、と言えども日本のおせちのように何種類のものを作る、という感じではありません。あの肉ドーン!やったーご馳走だー!というわかりやすさはアメリカならでは、というか、あの七面鳥の圧倒的な「質より量感」がアメリカ人の精神構造そのものを規定しているのでは、という気にすらなってきます。
とは言えサンクスギビングの主役である七面鳥。この時期になるとスーパーにずらっと並び始めます。何しろとりあえずデカいので、普通に鶏一匹を軽く晩御飯前に仕込みましょう、みたいな普段の時間感覚で料理をスタートさせるとまず間に合いません。少なくとも最低でも数日前、お肉の解凍時間を考慮に入れると1週間前くらいには七面鳥の入手が必要になってきます。今回ハタはいつもの通りうっかりしておりまして、お肉を買いに行ったのが月曜日。木曜日の本番まで数日、というかなりギリギリの状態でした。まあラッキーだったのはお肉が解凍されていたこと。解凍されてなかったら多分木曜日の当日に間に合ってません。
このビニールのバッグの中に水に浸かった状態で七面鳥さんが丸一匹入っています。
これを取り出して水分を拭き取り、塩にハーブ類を混ぜ込んだものを擦り込んで数日寝かせます。で、当日にはさらに溶かしたバターにフレッシュハーブやにんにくを入れ、香りをバターに移してからハーブとバターを分け、ハーブは七面鳥の体内に、香りのついたバターは七面鳥の表面に塗り、ここでようやく準備完了ということになります。まあ仕込み自体はものすごく手間がかかるわけではなく、いたってシンプルですが、何しろデカいので「焼く前に軽く塩を振って下味をつけておきましょう」レベルの下ごしらえでも数日はかかるわけです。
ちなみに焼く前に重さを測ってみましたが、
3キロありました。
オーブンに入れて30分。やっと表面が白くなった程度。まだまだです。
正直このサイズの七面鳥を相手にするのはハタは初めてでございます。正直どのくらい焼く時間がかかるのか見当もつきません。じわじわと焼きあがるのを待ちつつ、時々オーブンから出してはトレイの底に溜まる肉汁をすくっては肉にかけまわします。
オーブンのライトに照らされて金曜ロードショーのOPみたいな煌めきを放つ七面鳥さん。
そう、今日は君が一番輝く日。すぐ食われるけどな。
待つことおよそ3時間ちょっと。ようやく焼きあがりました。とは言え相手は3キロの肉の塊です。どうやって肉が中まで火が通っているのか、確かめるのはなかなか難しい。生焼けだと大失敗な上に下手すりゃ食中毒などを起こし、家族の団欒が阿鼻叫喚の地獄と化してしまいます。なので現代ではこのような文明の利器がついております。
なんか注射器がシリンダーごと肉にめり込んでいるように見えますが、これ、簡易温度計でして。中の温度が一定の温度にまで上昇すると青い部分がぽちっと飛び出るようになっています。なのでオーブンで焼きつつこれが飛び出てくるのを待つ、と。考えた人賢い。家人に教えてもらうまで全く存在にすら気づいていませんでした。
ということで爆発したり発火したりすることなく無事に七面鳥さんも食卓に。
ちなみに七面鳥はだいたいクランベリーソースをつけていただきます。
今回はクランベリーを買うのを忘れてたのと、たまたま家人が冷凍チェリーを買っていたのでクランベリーもチェリーも似たようなもんだろ、色も一緒だし、くらいの雑な感じで
チェリーでソースを作りました。付け合わせはオーブンで焼いただけの野菜とベイクドポテト。まあこれ全部オーブンにぶち込んだら何とかなるものばっかりなので、時間はかかりますがオーブンにいれてしまえばあとはほぼ放ったらかし、なのでその辺楽といえば楽です。
今年も何とかやり通したぞ(ぜえぜえ)
ということでサンクスギビングの夕餉にたどり着きました。本来は七面鳥を切り分けるのは家長の役割、とかで、家族によってはお父さんが七面鳥を切り分けるのか、息子が切り分けるのかで家族内の権力抗争が発生したりもする緊張の一瞬らしいですが、まあ別にそうこともなく適当に各自が勝手にお肉を切っては食べるだけですが。まあ塩加減もちょうど良いくらいで、まあ、これだったらとりあえずは成功かな?という感じでした。
まあねえ、アメリカ人にとってはものすごく大切なお食事だというのは重々承知はしているのです。一年に一度の大切なお食事。気合が入るのはよくわかるんですけどね。でもね、いつも思うんですね。
ぶっちゃけ鶏でよくね?
お店で一番小さな七面鳥を買ってきても3キロ。そのうち当日焼いて2人で食べても500g食べられるかどうか。残りの2.5キロのお肉は捨てるのも勿体無いので全部手でむしって骨を取り除いて真空パックして冷凍庫に。まあいつでも七面鳥が食べられる!と思えば良いのかもしれませんが、ごめんなさい、ハタはそこまで七面鳥に思い入れがない。まあ家人は七面鳥が大好きらしいので解凍しては家人に食べてもらおうか、と。
おまけ。
家人曰く、近年アメリカでは「フライドターキー」なる調理法が流行。「ほら、アメリカ人って揚げ物好きでしょ?ターキーも好きでしょ?だからターキーを揚げたら最高じゃん?みたいな発想だよ」とのこと。で、大量の揚げ油の中に凍った七面鳥を投入。
水蒸気爆発。
「日本でも毎年お正月に餅を喉に詰まらせて死人が出るでしょ?あれと同じ感じ」だそうで。
アメリカ人の揚げ物好きはガチ。
(あ、これは私信になりますが、サンクスギビングディナーにご招待くださった某Tさん、お気遣い有難うございました。今回は家人が「サンクスギビングは家族で過ごす日なので家で過ごしたい」という意向でしたので、今回は自宅でサンクスギビングを迎える事にしました。どうかご理解のほどを、、、)
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