皆さまご機嫌麗しう。こちらは相変わらずどんよりとした寒い日が続くニューヨークでございます。
でも正直そこまで寒くない。ハタがニューヨークに越してきた10年前の今頃だと、割と普通に日中の気温が氷点下だったと思うのですが、今年は日中の気温が氷点下になったことが1回ほどしかない。去年も割と気味が悪いくらい暖冬だったのですが、今年も同じく、暖冬か、はたまた地球温暖化か。その辺はよくわかりません。
さて。世間はクリスマスでかなり浮かれ気味ですが。昨日から家人が里帰りでアリゾナに行ったので、久しぶりに一人の自由な時間を過ごしております。ああもう色々と気が楽。気が楽ついでにふと思い立ちました。そうだ、今日は一人で朝ごはんを食べに行ってみよう、と。
ニューヨークの朝ごはん、といえばニューヨークの朝ごはんの女王と呼ばれるサラベスが有名ですね。最近では東京あたりにも支店ができたとか。そんなおしゃれでハイソな朝ごはんを、
ハタが、
一人で、
食べに、
行くわけないですね、はい。
ごめんなさいね、皆さんこの展開は分かってるのに。朝ごはん食べるためにただでさえ本数が少なくなってる週末に地下鉄に乗ってマンハッタンに行くなんて無理(怠惰)。あ、でもチャイナタウンの小汚い店で飲茶とかだったら絶対行く。実は一回だけこのお店には行ったことあります。夜に。朝ごはんで有名なのに、夜に(繰り返し)。味ですか?さして美味しかった記憶はないです。夜だったからですかねえ?
でまあ、どこに朝ごはんを食べに行くか、といえば当然あれですよ。どローカルのメキシカンベーカリーですよ。ぶっちゃけハタの住んでいる地域は基本ラテンゲットー。もともとゲットーという言葉はヨーロッパでユダヤ人が強制的に住まわされた地域のことですが、これが転じてアメリカではマイノリティの密集地域という意味になっております。要するにラテン系(というか正確には中南米スペイン語圏)移民が密集して住んでおられます。特にハタの近所はプエルトリコ系が多いわけですが、
そんな中にメキシコのベーカリーがあるわけですね。まあみんなスペイン語喋るので国が違うと言っても感覚的には北海道に沖縄料理屋さんがある、程度の差で、文化は一見違うようでいて根っこの部分では共通の文化を共有している、という感があります。
どんよりとした曇り空の下、ゲットーの目抜き通りをぷらぷら歩いて10分ほどでお店に到着。
道ゆく人は8割がラテン系か黒人さん、2割が白人、ですが多分この中でスペイン語を喋る人は9割超えると思います。店の前に立つとまあよくぞここまで発酵したな、という感じのホームレスのおっさんがなぜか店の扉を開けてくれますが、正直嬉しくない。飲食店だし。前この人を目撃した時には別のお店で扉を開けてましたが、お商売は上手く行ってるのでしょうか。個人的にはお風呂に入って服を着替えることをお勧めしたい。おしゃれでさして旨くもない白人飯は雑誌だのテレビだので取り上げられて挙げ句の果てにはトーキョーあたりで支店をオープンさせたりするのである意味希少価値がどんどん減っていくわけですが、こういうお店は希少価値ありますよー。だって絶対日本には輸出されませんからねえ。
ホームレスのおっさんにはなるべく目を合わさないようにしてお店に入ります。(お金をせびられるのが面倒臭い)
この洗練だの洒脱など一切無視の内装。たまりません。ぶっちゃけこういうお店は気取った白人はまず入ってきません。お客さんはほぼスペイン語圏の移民。基本公用語はスペイン語、ですが、ハタみたいなスペイン語を喋らないお客さんのために英語を喋ってくれる、という感じです。
朝から結構なお客さんですが、それをテキパキとさばく店員さん。本来ここはメキシコ系ベーカリーなので、メキシコの朝ごはんがメニューにあるのはあるのですが、今回ハタは甘いものが食べたかったわけですね。なので今日はフレンチトーストとコーヒーにしてみました。合わせて8ドル。小洒落た白人飯屋だと8ドルなんて朝ごはんはおろかフライドポテトすら食べさせてもらえませんが、こういうどローカルのお店はお値段設定が移民の庶民値段なので、比較的お安く食べられます。その分当たり外れも相当ありますが、過大な期待さえしなければ概ね問題はありません。アメリカで生活するに当たって絶対的に必要な要素、それは「何事においても期待をしてはいけない」。低い期待値を維持しつつ、たまにやってくる期待以上の出来事に幸せを感じられれば、あなたのアメリカ生活は幸福なものになるはずです。
もう少しお店の品物をみてみましょう。
大陸のおおらかな風がハリケーンのように吹き荒れる、そんなデコレーションのお菓子が大量に並べられています。ニューヨークの朝食の女王が絶対に見せたくないニューヨークがここにあります。だいたいこういうところのお店のクッキー類の味は、ものすごくよくできたもの、というほどでもないけれども、普段のお茶請けにはなんの問題もないし気軽に食べられる、という感じのものがほとんど。要するに過大な期待さえしなければ良いのです。
当然アメリカ名物「何で着色されているか全くわからないケーキ」もスタンバイ。どこまでが可食部でどこまでがプラスチックなのか全くわかりません。特に右のケーキに乗ってる丸い物体。日本だとホワイトチョコレートに着色した何かだろう、と思うのが正しいと思うのですが、ここはアメリカ。
多分間違いなくプラスチックの玉。
まあこんなお店なので基本出来上がったものは自分でカウンターまで取りに行きます。
待つことしばし。フレンチトーストが出来上がりました。カウンターにまで取りに行きます。
おしゃれなお店だとせめて果物だのミントの葉だのがちょっと乗ってたりしますが、ここはハードコアですから、そういうものはありません。潔く炭水化物+砂糖のみ。
悪魔の食べ物です。
まあ味は「覚悟してたよりは全然美味しい」です。安物のパンを使ったフレンチトーストですが、案外こういうものは安物の方が卵を上手く吸い上げて美味しく仕上がることもあるかもしれません。そういう意味では「これぞフレンチトースト」という味に仕上がっています。特に独創性もないですが、ケチャップと塩コショーでしか味付けしない環境で育ったシェフが必死になって作るひたすら雑な独創メニューからしたらむしろそんな独創性は最初からない方が良いわけです。ここのお店のフレンチトーストはその独創性のなさが素晴らしい。とはいえ本当に独創性がないか、と言われたらそうでもなく、本来アメリカではフレンチトーストには必ず付いてくるであろうメイプルシロップが付いておらず、代わりにチェリーのプレザーブのようなものが付いており。これが甘酸っぱくて美味しい。まあメイプルシロップは各テーブルに常備されているので、勝手にやってくれ、ということなのでしょうが、ハタ的にはこのチェリーだけで十分美味しくいただきました。
ふと壁を見ると古いメキシコの映画の写真。
そしてテレビに目をやるとサッカー中継。
ここのお店は信用に足ると確信。
一応ベーカリーという体裁にはなっていますが、割としっかりとしたごはんものもメニューにあるようで、他のお客さんが食べておられるものを見るとかなり美味しそうだったので、次回はもう少しお腹をすかせてお昼ご飯にチャレンジしてみたいと思います。
ということは今回はハタのトキメキ⭐︎ニューヨークグルメレポートでした!
みんな滅んじゃえ!(上目遣いで)
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