誰も聞かない音楽レビュー2019

と言うことで皆さまご機嫌麗しう。

ここしばらくお色気歌手だのアステカ人だのに人格を乗っ取られっぱなしでしたが、まあ、ハタと言う人格に戻ったところで大して重要な事を言うわけでもなく、皆さんもさしてお困りになるとは思いませんので、まあ、いいか、と。


こちらは無事にクリスマスを迎えました。こちらにきて初めてわかったのですが、クリスマスってアメリカ人的には日本人のお正月とほぼ同じ意味ですね、と。なのでクリスマスすぎて数日、と言うのはまさに日本で言うところの三が日に当たります。静かに家庭でクリスマスを迎える方もいれば、さっさと移動して暖かい国で休暇を過ごしておられる方もおり、その辺の感覚も日本のお正月っぽい感じです。


本来ならクリスマスディナー、と言う大ネタが一つあるのですが、それは敢えて置いておいてそのお話はまた後日に取っておいて、今回はクリスマスといよりは年末の総括をしてみたいと思うわけですね、ええ。


まあご存知の方はご存知だとは思うのですが、ハタは重度の音楽マニアでして。しかも方向性がロックとかポップスじゃなくて、ワールド系と現代音楽・実験音楽系、と割と極北の地域に生息しております。なのでまあ、常に音楽は聞いているのですが聴く音楽がほとんど他の人と被らない、という状況でして。なのでこの一年良く聞いた音楽を総括としてまとめておこうか、と。別名誰も聞かない音楽レビュー2019。

あ、でもハタの場合自分が見つけた時にはその音源は5年前にすでにリリースされてた、と言うことも良くあるので、あくまでも「2019年に発見、そして気に入った音楽・ミュージシャン」と言うことであって「リリースが2019年」と言う意味ではありませんので、その辺は悪しからず。


まあ興味のある方はご参考にされてみればいいんじゃない?

興味無かったら聞かなくてもいいし、うん(急に投げやり)


Jeremy Dutcher "Mehcinut"

やっぱり今年はこの人、Jeremy Dutcherの衝撃のファースト・アルバム。カナダの少数民族の血を引く若いアーティストですが、過去に蝋管に記録された祖先の声と音楽を手がかかりに、現代のネオ・クラシカルのトレンドを織り込んだ最先端の音を作り上げております。この絶妙のバランスを背景にして歌われる過去の伝承曲の素晴らしいこと。今年はこの人の音楽に触れることができた、と言うだけですでに豊作と言って良い一年でした。


Rosario La Tremendita " Romance Del Scilencio" 

もう初めて聞いた時の衝撃と言ったら。

フラメンコ歌手のRosario La Tremenditaのアルバム”Delirium Tremens" の一曲ですが、ジャズとフラメンコの正面衝突です。しかも衝突しっぱなし。どちらかが片方に従うと言うわけでもなく、ジャスはジャズ、フラメンコはフラメンコでひたすらぶつかり合いつつ、ギリギリのラインでお互いの動きを読み取りながら前に進んでゆく、と言うまるで綱渡りのような緊張感。現代フラメンコの恐ろしいまでの切れ味の鋭さを初めて知った曲になりました。


Gunter Berbig " Ex Oriente" 

まあ20世紀のオカルトに多少の造詣のある方なら絶対ご存知の神秘思想家グルジェフ。グルジェフは自分のサークルのために作曲をしておりまして、大量のアーカイブがあるわけです。古くはキースジャレットを代表に、グルジェフの音楽を現代の演奏家が演奏しているCDと言うのは定期的にリリースされるわけですが、まさかのエレキギターソロ。グルジェフは確かアルメニア人だったように記憶しておりますが、アルメニア音楽独特のメランコリックで東洋的な音楽が乾いたエレキギターの音で演奏されることで、自分がどこかの荒涼とした砂漠のどこかをさまよっているような気分になります。


Tautumeitas "Raganu Nakts"

ラトビアの女性6人組グループ。なんだこのかっこよさは。

ハタはここしばらく「ヨーロッパ圏ローカル音楽がいかに現代にアップデートされているか」と言う部分に興味を持って音楽を聞いているわけですが、その中でも突出したグルーヴ感と疾走感を持っているグループです。まあローカル音楽がロック化する、と言うのはすでに過去にあった事例ですが、ある意味そう言う時代はすでに終わり、ローカルな音楽が他の音楽ジャンルを偽装することなく一気に別の次元にジャンプしたような印象になるのが最近のこの辺の音楽の特徴ともいえます。まあその背景には旧共産圏のバルカン音楽復興ブーム、とか、マヌーシュ・スウィングのダンスミュージック化というオタ要素があるのですが、その辺を語り出すとやややこしいのでやめておきますね⭐️


Joanna Wong " 我只在乎你"

台湾のシンガー、ジョアンナ・ワンの新譜がまさかの日本の歌謡曲カバー曲集。

美空ひばり、淡谷のり子、ジュディ・オングなどのゲキ渋な選曲の中、特に数多く歌われるのがテレサ・テンが日本語で歌ってヒットした曲の数々。単にテレサ・テンの歌を歌いました、と言うだけではなく、アレンジも秀逸。この人の声の質感が日本のちょっと前のしっとりとした歌謡曲にぴったり。今の日本人の歌手でこの曲をここまで情感豊かに歌える人はいないでしょう。そう言う意味でもあの時代の歌謡曲の素晴らしさを再確認できる素晴らしいアルバムです。


Ssing Ssing @Tiny Desk Concert

あれ?これは今年知ったのか、去年もうすでに知ってたかしら?という感じの際どい感じですが、まあ、とりあえず素敵なのに変わりはないのでご紹介しておきます。韓国の謎の民謡ファンクバンド、Ssing Ssing。最近アルバムが出たようですが、このお3人の出で立ちの素晴らしさも楽しんでいただくために、敢えてのライブ動画でご紹介します。ぶっちゃけほとんど英語でも日本語でも情報がありませんので、あまりよくわからないのですが、どうやら真ん中の方は以前から韓国で歌手としてすでに活躍されているLee Hee Moonさんだそうで、その方を中心としたユニットと言うことのようです。まあ何が素晴らしいってなんでこの格好で民謡歌おうと思ったのかがわからない、ってことですね。超おしゃれです。特に左の人女装初心者に見せかけて実は女装歴15年、みたいな変な貫禄とチャーミングさが同居しています。


と言うとでとりあえず5つピックアップしてお届けしましたが、みなさんついてきてますか?

道に迷ってませんか?取り残されてませんか?まあ基本「別に誰もついて来なくても誰も困らない」と言うスタンスなので道に迷ったやつはそのまま鵺にでも食われておいてくださいね、と。


まあなんかこの5つのうちどれかがみなさんのお気に入りになれば嬉しいです。まあわかんない人には全くわからないと思うので、そう言う人はそれで結構ですので、ああ、世の中にはこんな音楽もあるのだな、と思っていただければ、と。


と言うことでいよいよ年の瀬となってきましたが、2019年の残りの数日もどうか楽しくお過ごしください。




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