バレンタインがダメなら旧正月でいいじゃない

皆様ご機嫌麗しう。いかがお過ごしでしょうか。

こちらは先週あたりの雪がまだ溶けずに残っております。午前中から日中の気温も大体氷点下。最近はマイナス1度だと「あれ?今日はちょっとあったかいな」と思う程度には寒い気温に慣れつつあります。とはいえニューヨークのアパートは古いところは大体セントラルヒーティング。北海道のような寒い地域の人は案外寒さに弱い、という話がありますが、まさにあれ。アパートによっては部屋の気温が30度近くにまで上がっているところもあり。しかもあんまりうまく気温調節できないわけですね、これが。昔ハタが住んでいたアパートはそれこそ100年近く経ってそうな煉瓦造りのアパートにセントラルヒーティングだったんですが、真冬なのに部屋の中は熱帯。短パンTシャツでもまだ暑い。で、暑いので窓を開けると外からマイナス9度の風が入ってくるんですよ。もうね、ちょうど良い、っていうのはないんですか?とお空に叫びたくなる事がよくありまして。


さて。ふと気がついたらもう2月。そしてバレンタインデー。チョコレート、ハタもこの四十路の人生を振り返りまして、ためすがめす裏から表から過去の出来事を思い出して確認したんですが、義理と人情以外で人様からチョコレートをもらった事

ねえな。


もうね、世の中には慈善活動以外でチョコレートをいただけない人がいるんですよ、ハタみたいな。口開けて待ってても上から降ってこないチョコレートを待つくらいなら、とっとと巣から降りてうまいもんを自力で探すのが筋、ってもんでしょ?そういう人はもうバレンタインとか、無駄な事は頭の中に入れてたらダメなんです。もう誰も愛さない。さっさと他のスケジュールを入れておきましょう。「えっ?バレンタイン?そんな外道の風習はちょっと私には合いませんの、、、ええ」と優雅に全否定。じゃあ何を代わりにスケジュールに書き込みましょうか?

ちょうど良いのがありますよ、この時期。


旧正月。別名チャイニーズ・ニューイヤー。


今年も華人圏の旧正月のおめでたい2週間は、無事にバレンタインの存在を全力でなかったことに。全ての顔面プロレタリアートに救いの手を差し伸べる旧正月。嫌いじゃない。


ということで旧正月。ハタは過去10年ほどシンガポールにも1年のうち4ヶ月ほどおりましたので、時々タイミングでシンガポールで旧正月を迎える事がありました。赤道直下の旧正月とはこれいかに。皆さんにお伝えしたいと思います。


さてシンガポールの旧正月。一言で言うと狂気のクライマックス。熱狂の果ての発狂。

と言いますのも。実は旧正月が9月あたりから続くイベントラッシュの最終ゴールなのです。ご存知のようにシンガポールは多国籍国家。しかもアメリカやヨーロッパと違い、人種や宗教などに関しては比較的どれであっても敬意を持って扱えってもらえる国。基本シンガポールは7割華人の国ですが、その華人も結局はキリスト教徒と仏教徒に分かれており、なんだかんだで一つの特定の宗教が覇権を握る、という構図が成立していない珍しい国でもあります。


と言うことは。

どこの宗教のお祭りも等しくイベント化。

さらに国を挙げての官製イベントがここに加わります。


よって。

9月のシンガポールGPからスタートして10月あたりにはヒンズー教徒のディーパーバリ、というお祭り、そしてその後はちょっと休憩があってすぐにクリスマスとそのバーゲン。そしてその後普通に年の瀬で大騒ぎした後はチンゲイパレードでさらにひと騒ぎして、さらにバーゲン続行で一月後のフィナーレである旧正月に向けてひたすらテンションを高めていきます。さらにその年によってはこの時期にイスラム教の断食期間がぶち込まれたりしてもう大変。ほぼ半年国民の誰かがお祭り騒ぎ、というハイテンション期となります。


ちょっと前のリトル・インディアのディーパーバリのイルミネーション。かわいい


もうね、思いましたね、ハタ。

この国は建国からバブルで出来てんな、と。

ほら、なんかバブリー(死語)なタイプの日本人が軒並みシンガポール目指すじゃないですか?やっぱり類は友を呼ぶんですよ、ええ。とはいえそういうバブリーな人たちってシンガポールローカルの(売春以外の)面白いところには絶対いきませんけどね(本音)。


まあ旧正月近くになるとこの調子で関羽様も金の延棒を持って遥々南国にいらっしゃいまして、ついでにずっとグルグル回転してたりされますので、もうここまできたらバレンタインなどというコマいイベントの出る幕ではありません。シンガポールの男子、基本人口におけるのび太比率が日本より高い印象があるわけですが、きっとこの関羽様がそんなのび太達を守っていらっしゃるのでしょう。いやありがたい。因みに、写真にも右端にちょこっと写っておりますが、梅が一応お正月に合わせた花、としてデコレーションされるのですが、当然ここはシンガポール。暑すぎて梅は育ちません。よって全部造花。


因みに旧正月前にはこんなイベントもあります。今ではシンガポールと他数カ所でしか行われていないというタミル系ヒンドゥー教の奇祭・タイプーサム。ある日朝起きたらこんな人が街を練り歩いておりました。

別次元のテンションの高さ


まあ苦行の一貫なんだそうですが、見た目のデコラティブさと身体的な痛さのバランスが絶妙。こんな人がぐりぐり街を歩いたりするシンガポールの1月。投資でシンガポールに行くタイプの人には全く見えてこない世界がそこにあります。


ということで南国のお正月。梅もない、桜もない、でもお祝いはしたい。その結果。

まさかのパイナップルがお飾りに。

かわいい。ハタのシンガポールのお気に入りの装飾のひとつです。ぶっちゃけ輸入してみたい

まあわからんでもないですね。中国本土の旧正月はどうなのか知りませんが、シンガポール華僑のお正月はみかんが大きな役割を果たします。まああのオレンジ色が黄金のメタファーなわけですね。

要するに財運祈願。ということで、みかんじゃなくてもパイナップルも良い感じに黄金じゃね?と。なるほど。そうきたか。ちなみにパイナップルは他の儀式でもよく使われるようで、道っぱたの民間信仰の祠なんかを覗くとよくお供えしてあります。


これなんかもいかにもシンガポールのお正月って感じですね。こういう小さな柑橘類の木がちょうど門松みたいな感じでホテルやビルの入り口に飾られます。なんかいつもきれいに実っているので、これって食べられるのかなあ、、、と思って聞いてみたところ、「薬品使って色つけてるから絶対食べちゃダメ」とのこと。そもそもこういう柑橘類、シンガポールは暑くて育たないようでして。日本の胡蝶蘭と同じく飾られて役目を終えると後はもう生き残る術は殆どないようです。


右端に写っている箱が全部みかんです。シンガポール、赤道直下だけあって本当に果物は美味しいですね。特にパイナップルやマンゴー、マンゴスチンなどはもうびっくりするくらい美味しい。でもどうなんでしょうかね。いくら縁起物とはいえ、遥々北からやってきたみかん、美味しいんでしょうか。お正月時に見かけるみかん、あんまり食べてる人見かけたことありません。


因みに意外とおいしくないのがメロン。メロン、っていうか瓜の味。




ご近所の文房具屋さんもこの時期ばかりはお正月のお飾りで真っ赤に。こういうお店の前を通ると、異国ながらも「ああ、旧正月だなあ」という雰囲気を感じる事ができてなかなか良い体験でした。やっぱり印象に残るのは、あの日本の朱色とも若干異なる、独特の中国の赤に黄色の組み合わせ。あの色で街が埋め尽くされるのは、やっぱり華人文化圏ならでは、ですねえ。

路上食堂のティッシュもお正月仕様


まあ旧正月は主に華人のお祝い事なので、他のマレー系の人やインド系の人はクールにお過ごしなのか、と思いきやその辺はやはりせっかくなのでこのビッグウェーブには乗っとくか、くらいの感じで皆様それなりにお正月をお祝いされるようです。旧正月前後には酔い潰れて道っぱたに転がっているバングラデシュ系の日雇いのおっちゃんが。まあ確かに華人とマレーシア系、インド系の人が一緒に働いているケースが殆どなので、仲良くなるとお互いのお祝いの日に参加する、というのはよくあることのようでして。そういう意味では他人種国家としてはかなりうまく行っている国のひとつだと思います。




まあハタもなんだかんだで10年シンガポールを行ったり来たりしましたが、その時のお話をあまりこちらのブログでご紹介した記憶はあまりないので、これからも時々こうしたシンガポールのよもやま話を皆様にお届けしてみようかと思います。まあ主にご飯のお話だと思いますけど。



































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