海南珈琲

皆さまご機嫌麗しう。

暑いですねー。こちらニューヨークはブルックリンの気温も30度越えで、夏真っ盛りですが、お盆を過ぎた数日前あたりからすでに秋の気配がしてきました。昨日日本食スーパーに行ってきたのですが、そこの従業員さんと「今年の夏は意外とマシでしたねえ」という会話になる程度。とはいえあとひと月くらいはそれなりに暑いのでもう少しの辛抱です。

まあ昔からハタの事をご存知の方は知っておられるとは思うのですが、ハタはここ9年ほどマグロのようにぐるぐると回遊して生活しておりました。と言いますのも家人が突然シンガポールの某会社にお仕事を依頼されて単身赴任したわけですね。でまあその頃にはハタはロサンゼルスにいたわけですが、「これだったらロサンゼルスに必ずしもいる必要はねえな」と思い立ち、まあ死ぬ前に一度ヌーヨークという極楽みてーな大都会に行ってみるだべさ、と思ってスーツケース一つでこちらにやってきて今に至るわけです。でまあシンガポールには年2回、それぞれ2ヶ月ほどいて家人のアパートに転がり込んでいたわけです。で、ニューヨークとシンガポールの途中で日本に里帰りして。まさに回遊魚のような生活です。

まあそこで悪いものを覚えてしまったんですね。

そんなに上質のブツでもないんですが、ハマると抜けられない魅惑のあれ。

人によっては過剰摂取で命を落とすと言う、あれです。

まあ現地ローカルのコーヒーですけど。



これぞ東南アジアの真髄・ビニール袋コーヒー(テイクアウト用)だ!そして意外と飲みにくい!

ほら、コーヒー通?っていらっしゃるじゃないですか。

どこどこ産のなんちゃらで、深煎りがどうで味がどうとか。

牛乳なんてもってのほか、砂糖も味が変わるからダメ、みたいな。

でもですねえ、ハタから言わせてもらったら

は?なにそれ?

です。コーヒーなんて牛乳が入ってて甘けりゃいいんです。

白バラのコーヒー牛乳に勝るコーヒーなし。ファックおしゃれなノンシュガーコーヒー。

地獄の業火に焼かれて灰になってしまえ(過剰な反応)

東南アジアのコーヒー。

それは激甘。

まあシンガポールとマレーシアは日本軍が占領するまではイギリスの植民地でしたし、近隣にはインドネシアというコーヒー生産に適した場所がありましたから、コーヒーを飲むと言う文化は日本なんかよりずっと庶民に浸透していたのだと思います。ですがやっぱり庶民ですから、コーヒーといってもそれほど質の良いものが出回っていたとは思えません。実際シンガポールのローカルなコーヒーは焙煎の際にマーガリンを加えるそうで、おそらくこれも庶民の先人の知恵だったのだと思います。シンガポール出身の知人なんかに「ローカルのフードコートのコーヒーが好き」と言ったら最後汚物を見るような目つきで見られますが、まあ好きなんだから仕方がありません。

シンガポールは割と色々と便利にできているなーと思うところがあります。それはマンション等の集合住宅の1階部にフードコートがあり、そこで朝ごはんから晩御飯までなんでも食べられること。あれは本当に便利です。そしてそう言うところには必ずコーヒー屋さんが1件か2件はあります。で、そう言う場所に行って「おっちゃんコピ・シちょうだいー」と言うと「あいよー」って言って作ってくれるんですね。

淹れ方は簡単。

1.やかんに熱湯を沸かす

2.コーヒーの粉投入、かき混ぜる

3.ネルドリップで濾す

4.漉したコーヒーをやかんに戻す

これを数回繰り返して終わりです。



で、そこにとても重要なものが加わります。

そう、エバミルクと練乳です!さらに砂糖!イエス白い粉!

この段階でコーヒー豆の繊細な味わいとか香りとか完全に吹き飛んでます。っていうかマーガリン入れて焙煎ですしね。

もうそう言うことはそもそも考慮に入ってません。

味は濃ゆいコーヒー牛乳です。完璧です。神が民に与えた恵みの蜜(ネクターと読め)です。

そして作ってくれたおっちゃんがにっこり笑った時に前歯が抜けてたらそこのお店は間違いありません。

おかげさまで結構な割合のお年寄りが糖尿病に。ですのでシンガポール政府は最近ローカルなフードコートでの砂糖の使用を控えるキャンペーンを始めました。残念なことにローカルの激甘コーヒーを提供するお店は確実に減りました。

チッ余計な事をしやがって

とハタは苦々しく見ておりましたが、まあ身体のことですし。

健康大事。うかうかしてると死んじゃうし(40代半ば)

それでもこちらニューヨークに戻ってきてからあのパンチの効いたコーヒーが懐かしくなります。

そう言う時は深煎りコーヒーに練乳とエバミルクで作ってみるんですが、

これが不思議なくらい東南アジアのローカルコーヒーの味にはならないのです。

味覚の神秘。残念ながらシンガポールに行くことはしばらくなさそうなので、

あの甘いだけのコーヒーはシンガポールの美味しいものの一つとしてハタの頭の中で美化されていくのでした。

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