シェフの気まぐれ森の妖精踊り食い

ということでみなさまご機嫌麗しう。

こちらはすっかりいつも通りの週末に戻ったニューヨークです。とはいえ今日は気持ちが悪いくらいの暖かさ。この時期なら一年でもっとも寒い時期なわけで、日中は基本氷点下のはずが今日は気温が10度近くまで上がり。流石に道ゆく人も今日は上着なしの方も多かったように思います。


本日は家人と共にお昼からふらっと散歩に行きまして。寒くないので外歩きもそんなに苦でもなく、ふらふら歩くにはちょうど良い気候です。電車に乗って15分ほど先にあるキャロル・ガーデンという地域に行って来ました。まあ名前だけ聞いたらなんだかファンタジーでドリーミーな感じではありますが、まあここ数年で再開発が進んだ地域の一つでございます。近くにイースト・リバーを引き込んだ運河があり、おそらくそこを通じた物流で栄えた街だと思うのですが、まあそこの運河も時代を経るに従い役目を終えたようで。今頃になって再開発は進んだものの、そこの運河はこれから100年かけても汚染物質は除去されないだろう、という死の運河に。しばらくは完全に放置されていたようです。

再開発が進むとハタ的にはあんまり面白い方向には行かない訳ですが、それでもこの辺にはまだ古い世代のお店がいくつか残っており、そういう昔のブルックリンの風情を味わうのには良い地域です。

ものすごく老舗、という感じでもないけれども古き良きアメリカの佇まいを感じるお店。

日本の洋菓子屋さんのような華やかな感じ、というよりは地方の和菓子屋のような渋い佇まいです。

こういう古いイタリア系のベーカリーに行くと必ずマジパンがあります。

今時日本でマジパン売ってるお店なんてあるんでしょうか。見た目は可愛くて綺麗ですが、正直美味しかったという記憶がない。まさに昭和の贅沢です。


このレストランも1930年創業。これぞニューヨークの風格あるお店、という感じです。まあ日本だと普通にこのくらいの歴史を持ったお店は山ほどありますが、アメリカだと1930年代創業はかなり古い方に入るのではないでしょうか。このお店がオープンした頃はまだ禁酒法の時代、ということになりますね。ゴッド・ファーザーの舞台設定が1945年らしいので、ちょうど主人公の幼少期あたりにこういうお店が創業していた、ということになりますね。


まあ流行りのこぎれいでやたらとファンシーなお店、というのもニューヨークにはたくさんありますが、正直あまりハタはあの辺興味がない。っていうかお皿の料理の上にちょっと乗っているあの小さい葉っぱとかお皿の料理が乗ってないところにわざわざ振りかけてある胡椒とかの意味がよくわからない。まあ美味しいところに当たればそれなりに美味しいですけど、そういうアメリカのファンシーなお店で「これは!」と思うほどの料理に当たったことがありません。だったらそんなに繊細な方向を追求してもらわなくてもいいから昔からの質実剛健なアメリカの料理を出してもらった方がこちらとしては面白い訳で。まあ、無理すんな、と。


ちなみに「これはすげえ!」とたまげたのはアメリカでもシンガポールでもなくマレーシアはクアラルンプールの高層ビルの一番上にあるフレンチのお店でした。あそこなら多少高い金払ってでも行く価値はあるな、と思いますが、今の所あれを超えるようなお店をニューヨークで体験したことはないです。まあ多分あのクラスを食べようと思ったらもっとお金がかかるんでしょうね。


そういえば最近ありました、そういう「雑なひねりを加えて大惨事」メニューにぶちあったことが。近所の小洒落て中途半端に高いカフェーなんですけどね。メニュー見たら「ジャパニーズ・カリー(14ドル)」って書いてあったんですよ。えっ、ここで日本のカレー食べられるの?マジで?だったら嬉しい!いやー日本食ブームもここまで来たかー、いやー困っちゃうなーあっはっはっは、て思いながら頼みましたよ、ジャパニーズ・カレー。白いご飯に食欲のそそるスパイスの香り広がる、そんな素敵なお昼ご飯を夢見たんですよ。やっぱり添え物は福神漬け?それともらっきょ?もしかしてもうちょっとマニアックに神戸のインディアンカレーみたいに酢漬けのキャベツかしら?うふふ、うふ、うふふふ(窓辺で頬杖をつきながらお空を見上げている)


で、出て来ましたよ、ジャパニーズ・カレー(14ドル)が。


お前誰だよ


流石にもうアメリカに住み始めて15年、ハタもそこまでウブではありません。まあこのくらいの事であればまさに弥勒菩薩のようにアルカイックな微笑みを浮かべてスマートに対応します。あ、そうね、ヘルシー路線ね。そうですか、そうですか、福神漬けとか、流石に期待しちゃあダメですね、あはは、あははは、ふう。

で、白ご飯は?


えっ白ご飯ついてないの(ここで本気で動揺する)


周りを見渡しても誰も白いご飯を用意してくれている様子もなく。どうやらこの自称「カレー」の中に入っているキヌアとかが「白米」の代わり、ということのようです。マンハッタンにあるゴーゴーカレーだってカレー一皿10ドルで出してるのに、こんな旨いもん食ったことのなさそうな貧相な毛唐が自信満々に作る自作カレーが14ドル?はぁ?

ここの店の主人とは死んでも分かり合えんな


なんなんでしょうね、この「オレたちなんでもできるぜ」と言いながら自信満々でレベルの低いものを出してくる感。白人のおしゃれ飯屋とアジア人経営の和食店によくありがちな展開です。なんでもできるってことは何にもできてない、っていうことに早く気づけ、的な。だから無理すんなって言ってるだろうが、といつも思いますが、こういう人に限ってみんな無理するんですよね。何でですかね。もうお前ら味なんて分かんないんだからカレーの王子様とか温めて売っとけよ、と思いますが。そっちの方がよほどありがたい。昔ジェイミー・オリバーが書いていたそばつゆのレシピを見たことがあるのですが、出汁と醤油だけの醤油汁を得意げにそばつゆとして紹介してたので、こいつらの味覚は絶対信用ならんと思ってましたが、やはりつくづくあの辺のいけ好かない白人飯は本当に地雷だと再確認しました。ファックおしゃれ白人飯。ベジベジうるさいんじゃその腰回りのどこがベジじゃええかふすま雑穀は鹿の餌やお前ら死ぬまで鹿せんべい食っとけ(発狂)



えっと話を今日に戻しますが。

晩御飯もこのエリアの中にある割となんの変哲もないピザ屋でピザとチキンピカタを食べましたが、これがまた素晴らしくなんのひねりもないど直球ストライクの個性のないピザで、そのど直球さゆえにシンプルに美味しいと思えるとても良いお店でした(褒めてる)。ピカタもアメリカでよくありがちな焼き締めた鶏が出てくるかと思えば意外にもええ感じの火加減で火を通したものが出て来たので、やはりアメリカ人は変なひねったものを作るよりはシンプルに質実剛健なものを作ってもらった方が良いな、と思いました。確かに大雑把ではありますが、アメリカ人が大量の肉で作るBBQあたりは日本人には真似できないものがありますし、やはり文化によって得意不得意があるんですよ。あなたたちの文化に貴族文化なんてないんですから、素直に質実剛健な味を追求しておけばいいじゃないですか。もうわかりもしないのにUMAMIとかいうのやめましょうよ、ね?ケチャップ最高。ほら、ケチャップで全部あなたの人生の問題全部解決できるでしょ?ね?ほら、塩もあるし、砂糖もたくさん入れたらいいから。ね?死なない限りかすり傷。ね?もうわかってるでしょ?あなたたちに繊細さとか奇抜さとか、そういうもの求められてないから。わかる、わかるの。フォン・ド・ボー、とか、コック・オ・ヴァンとか言ってみたい気持ち、よくわかる。でもね、あなたのお里にそんなものなかったでしょ?だから、あなたたちは塩とコショーとケチャップだけで何とかしてくれたらもうそれでいいから。誰も頼んでないのに無理にレベルの高いふりして変なもの食わすのやめてくださいおねがしますカレーの王子様でいいからマジでお願いしますって(懇願)



明日ゴーゴーカレー行ってこようかな(遠い目)






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