ニューエイジでした(後編)

皆様ご機嫌麗しう。

こちらは相変わらず自宅待機のニューヨークですが、感染者数や入院者数、死者数などは順調に減っており、とりあえずは峠を越したと言える状態になりつつあります。それに従いもう直ぐやってくるであろうオープンに向けて準備する工場などが増えており、今まで全くひっそりとしていた通りにも少しづつではありますが人が戻ってきております。流石に自宅待機も2ヶ月に近くなってきましたので、皆さんも慣れてきたというかなんというか、で、「とりあえず怖がってても仕方ないからマスクと手袋して動くか」という方向で再始動されている方が増えてきたように見受けられます。



ということでハタの過去を暴く第三弾。阿鼻叫喚のニューエイジ世界から遂に本気オカルトへ。

繰り返しますが、

これは全てノンフィクションです。



ハタがホーリーネームを持った人たちに囲まれてそこそこ楽しく過ごしていたのがちょうど大学1〜2年の頃。今から考えると濃ゆい世界にいたな、とは思うのですが。まあ確かにニューエイジな人たちですから、世界観が一般人とは異なるのでその辺変な世界、ともいえますが、皆さん人間性そのものは真面目で実直な方々ばかりで、その辺は本当におつきやすいしやすい方ばかりでした。


でまあ、ハタも大学生になったことだしバイトしないとなあ、と思っていたらまさにOSHOつながりでアルバイトを紹介していただいたんですね。大阪の某小さなイベント企画会社でした。とは言っても働いているのは30代頭の若い社長さんが一人、で、小汚い荷物が山ほど詰まったアパートの一室でタバコをくわえながらその当時はまだ珍しかったアップルのパソコンに向かって何かをしている、という感じでした。


その社長さん(以下Fさん)は今から考えると典型的なボヘミアンなタイプの方で、その当時バブル真っ盛りでそこそこちゃんとしたお仕事をされていたわりにはいつも小汚いTシャツにボロボロのジャケットを羽織り、伸びきったボサボサの頭で不健康そうな目の隈を作りつつ、タバコをふかしながらこれからの時代のあるべき姿やインターネットの未来を熱く語るような、あの時代の景気の良かった時代のヒッピーを絵に描いたような人でした。ハタがFさんの事務所に行くと、いつも「じゃ、カレー食いに行こう」と行って、同じ町内にある、同じくOSHO信者の仲良しのインド人がやっているカレー屋に連れて行ってくれて、そこでご飯を奢ってくれるのでした。


まあハタはそこでアシスタント、というか雑用のようなことをしたのですが、Fさんはパソコンを持っていなかったハタの為に、事務所の隅の方に転がっていた古ぼけたパソコンを貸してくれました。それを自宅のボロアパートに持ち帰り、ハタは講演会の録音の文字起こしをしたりしてアルバイトをしていたわけです。そのパソコンは今となっては伝説のマッキントッシュSE。やはりOSHOを信奉するようなニューエイジのヒッピー社長からしたら、自分のパソコンはウインドウズではなくMacであるべきだったのでしょう。おかげでハタはそれ以降Windowsが一切触れないMacユーザーとして成長し今に至ります。


しかしそんな希望に満ちた世界もあっという間に消え去りました。

そう、バブル崩壊


あの時に自由や創造性を謳歌していた、このFさんのような個人事業主もあっという間にバブルの津波に呑み込まれてしまうのは時間の問題でした。今まで通りやっていたことが全てうまくいかない。そして今まで自由にやらせてくれていたクライアントもどんどん減り、あれよあれというまに小さな会社は傾き始めました。それに従いハタに回されるお仕事も少なくなり、ハタも他のアルバイトに通い始め、手元にはこの小さなマッキントッシュSEが残されました。


それでもたまにFさんはハタに電話をしてきてくれるのでした。「ハタ君元気にしてる?」という挨拶から始まり、たわいのない会話をして終わるのですが、バブルが崩壊して会社が傾き始めた頃から内容に変化が現れ始めました。


「ローソンはユダヤ人が日本を支配しようとしている証拠なんだよ!ローソン=Law-Son、つまり方の息子!これこそがユダヤ人の支配の証拠!あいつらはバーコードで人類をコントロールしようとしている!」


まあハタも最初のうちは面白おかしく聞いていましたが、まあネタとしては面白いけどバイトの上司が陰謀論ってどうよ?という部分もあり、この頃からはなるべく深入りしないように気をつけながらお付き合いしておりました。そうなるとある程度その空気が向こうにも伝わるのでしょう。Fさんの電話はやがて少しづつ減っていくのでした。


そうこうしているうちに時は流れ、久しぶりにFさんに会う機会がありました。久しぶりのFさんの声は暗く沈んでおり、バブル華やかなりし頃の明るい希望に満ちたFさんの姿はそこにはありませんでした。Fさんはハタに今相手先とのトラブルで訴訟になっていること、自分に落ち度は無いはずなのになぜかこういうトラブルが多発し困っている、とのことでした。バブルも崩壊してしまった今、そう簡単に解決策が一介の大学生に見つかるわけもなく、ハタもこれはどうしたものか、と思い話を聞いておりましたが、Fさんは遂にこんなことをハタに言ったのです。


多分これは取引先から黒魔術の呪いをかけられてるんだと思うんだ


えっ(驚)




だからこっちからも魔術をかけ返すことにしたんだ


ええっ(狼狽)



ゆるふわニューエイジからまさかの本気オカルト目の前で本気で魔術を語る人、というのが自分の人生に現れてしまいました。突っ込むわけにもいかず笑うわけにもいかず。心の中では動揺かつ興味津々、でもうっかり笑って呪われても困る。静かに聞いているハタに向かってFさんは喋り続けました。


実は最近面白い人に出会ってね。●●さん、っていう人なんだけどね、●の劔団、っていう秘密結社が阿倍野にあって、そのリーダーをやってる人なんだけど、その人はアレスター・クロウリーの生まれ変わりらしくって、、、その人が相手方の呪いを跳ね返してくれる呪法をしてくれるらしいんだ、、、


フォトジェニック


経験豊富な皆様にお尋ねします。


バイトの上司が呪いをかけようとしています。
どうしたら良いでしょうか?(22歳学生)


呪い?かけちゃえばいいんじゃないっすか?とも言えず。

何バカなことを言ってるんですか?とも言えず。何事も未経験な若かりし頃のハタは、ただただFさんの話を聞くことしかできませんでした。ただ、ハタが思ったのは、


あ、もうこのバイトだめだ


ということでした。まあその頃にはそもそもお仕事も来てなかったので、ただの電話友達みたいな感じでしたが、ハタの頭の中には潮時、という言葉が浮かんでおりました。多分ここから先はレッドゾーン。触らぬ神に祟りなし、ここはFさんと距離を置いて置いた方が良いだろう、と。


帰り際にFさんは「お守りがあるからあげるよ、●●さんに作ってもらったんだ」と言ってハタに丸い紙に何かが書かれたものをくれました。


ネットに落ちてた画像ですがまさにこんな感じ


マジもんやんけ


流石に凍りついているハタを知ってかしらずか、Fさんは続けました。

あ、ハタ君、これから魔術の儀式があるんだけど、行ってみる?



童貞捨ててないのに生贄にされてたまるか(怒)


丁寧にお断りして、このバイトはもう辞めておこう、と。Fさんも多分もうだめっぽいし。



ということでFさんとはそれっきり。

のつもりでしたが。


それから半年くらい経ってまたFさんから電話がかかってきました。相変わらず声は弱々しく、トラブル解決には至っておらず、困り果てた様子でした。トラブルの話を色々聞いたように覚えてはおりますが、具体的にはもうほとんど忘れてしまいました。が、Fさんの言ったことがハタの脳裏に強烈に焼き付きました。


ハタ君、なんか最近変なことがあってね。

いつも通りあのインド料理屋に行ったんだけど、店員が血相変えて飛んできてさ。

「お前一体何をやったんだ!」って。

え?別に何もしてないけど?って言ったら、



「お前が店に入った瞬間に店の警報機が一斉に鳴ったぞ!お前何をしたんだ!」って。





その電話以降、Fさんとの消息はぷっつりと途絶えました。

ハタもそれ以降はニューエイジの人たちからは距離をおくようになり、現在に至ります。




これでハタの3回に渡るニューエイジ話はこれで終わりです。文章上の表現に多少の違いはあるにせよ、これは全てハタが実際に体験した事実です。まあ我ながら面白い人生だなー、とは思います。


とは言え、やはりどれだけ怪しい物事が好きであっても、レッドゾーンには入ってはいけないのです。ハタがなんだかんだ言ってこうやって生きてるのは、もしかしたらそのレッドゾーンに入らないようにしているから、かもしれませんし。


ニューエイジ愛好の皆様、どうかお気をつけて、、、ふふふ(不敵な笑いを浮かべながら)













































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